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4.遊戯王から理解する法律学

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※この記事は旧ブログ(note)で投稿したものです。極力記事の修正はしていません。

 

こんにちわ。久しく更新をしてませんでした(反省)。
理由は学業の方が少し忙しかったのと、第三波の影響で友達に会えず鬱々としていたからです(言い訳)。

さて、そこで(?)今日は自分の好きな法律学遊戯王について語っていきたいと思います。
というのも、遊戯王をやれば法律が、法律をやれば遊戯王がより楽しめると思っているからです。

遊戯王とは

遊戯王。知っている人も多いのではないでしょうか?子供の頃にやっていたという人もたくさんいるはず。ぶるーあいずほわいとどらごん、とか、せいなるばりあーみらーふぉーす、とか。
いわゆるカードゲームというジャンルのものです。他にはデュエマやバトスピとか。
最近ではシャドウバースの様なスマホ上で行うカードゲームもありますね(遊戯王、実はスマホ版もあるのでよかったらぜひ)。

さてさて、遊戯王の楽しさはいくらでも語れますが今回は置いといて、なぜ法律と結びつくのかを述べていきましょう。

遊戯王法律学の関係性

カードゲームが「ゲーム」たる理由は「ルール」があるからでしょう。遊戯王なら遊戯王の、デュエマならデュエマの、といったような特有のルールがあるからこそそれぞれが峻別されています。

そしてこのルールをしっかり理解して実行していくために必要なプロセスがまさしく法学で欠かせない「解釈」に繋がってくるのです(つまりは遊戯王と法律が関係しているというよりカードゲームと法律が関係しているんですけどね)。

より詳細に言えば、遊戯王の絵の下にある「テキスト」の文章を理解する過程で法律を学ぶうえで欠かせない解釈をすることになります。
以下では具体例を挙げてみたいと思います。

「対象を取る」・「取らない」の違い

まず問題の所在を挙げましょう。
よくあるカードの効果として
『このカードは効果の「対象」にならない』と記載されています。一般的に、「対象」とは行為の標的をさす単語と解されています。
では通常の意味に解した場合に、正しくゲームを進められるでしょうか。

上のカードが「対象を取る」カードであることは争いがないでしょう。なぜなら「・・・を対象として発動する」と明記されているから(法律では明記されているから論理必然そうなるわけでは無いですが、あくまでゲームですので)。

しかし下のカードはどうでしょうか。プレイの中では、下のカードを使うプレイヤーもどのカードを標的にするか相手に示すことになります。ではこれも「対象を取る」といえるのでしょうか。
答えは否です。なぜなら「対象を取る」と「選ぶ」は書き分けられているからです。
どちらも相手に「このカード」と効果の標的を示しますが、ルールの上では一方は「対象を取る」であり、他方は「対象を取らない」のです。

したがって、『このカードは効果の「対象」にならない』効果を持つカードに対して、上のカードは使えないが、下のカードは使えることになります。
上の説明に対しては「でもこれ一方が「対象を取る」って書いてあるからすぐわかるじゃん」と言われそうです。そこでさらに例を見てみましょう。

「選択する」と「選ぶ」の違い

ではこの2つはどうでしょうか。
上のカードは「選択する」であり下のカードは「選ぶ」です。意味も表記もほとんど同じです。
この2つは「対象を取る」・「取らない」のどちらなのでしょうか。

答えは
「選択する」=「対象を取る」
「選ぶ」=「対象を取らない」
です。なぜか?

わかりません。論理必然な説明はありませんが、「対象を取る」・「取らない」という区別がある以上、「選択する」・「選ぶ」のどちらかを「対象を取る」という意味に解釈しなければルールとして成り立たなくなってしまいます。
そこで「選択する」=「対象を取る」
と運営が判断したことになります。
なお現在は「対象を取る」と「選ぶ」の2つの表記に統一されているので、直前の例のような複雑さは是正されています(これも法改正に似ているといえます)。

法解釈のプロセスとの類似性

このように通常の意味を踏まえつつも、ルールの上でどのように単語を読めば正しく運用できるのかを考え、その裏の意味を考えることがここでの「解釈」になります。そしてこの解釈をすることが法律を学ぶ上で欠かせないものになっています。

ここで刑法の条文を例に類似性を述べていきましょう。

刑法第103条
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
(蔵匿=隠すこと、くらいに考えておいてください)

例1.実際に殺人をしたAをBが蔵匿した場合
例2.実際には殺人をしていないが、警察に指名手配されているAをBが蔵匿した場合

例1が刑法103条に当てはまることに争いはありません。
では例2はどうでしょうか。ここで法的に考えるためには、まず条文のどの点が問題なのかを考えなくてはなりません。

今回の条文の言葉ではAが「罪を犯した者」に当てはまるかが論点といえるでしょう。
そこでこの「罪を犯した者」がどのような意味かを「解釈」します。
例えば、「本当に罪を犯した者」という解釈もできるし、「本当に罪を犯した者及び罪を犯したと疑われている者」と解釈することもできます。それぞれの解釈の妥当性や論理の説明も加えられます。

そして、争いが起こった場合には、どのように解釈すべきか裁判所が判断することになります。
今回の例では、「本当に罪を犯した者及び罪を犯したと疑われている者」と広く解釈するのが判例の見解(最判昭和24年8月9日刑集3巻9号1440頁)なので、例2のBも罪に問われることになります。

このように文言の解釈から始まり、裁判所のような組織からの判断を待つという仕組みは結構、カードのテキストを理解するプロセスと似ているのではないでしょうか。とりわけ解釈を行う部分は、法解釈に比べれば非常に簡単なものではありますが、使われている言葉を精査する点で類似しているといると思います。

(解釈というには稚拙すぎる!という反論もあるかとは思いますが「通常の意味以外での文言の使用にも着目する」という点では似ている部分は多いのではないかなぁと思ってます(๑╹ω╹๑ ))

「要件」と「効果」

また、最近の遊戯王民法的(?)なテキストの表記も用いられてます。

これは子ども向け遊戯王(ラッシュデュエル)のカードですが、ここには
「条件」と「効果」にテキストが分けられています。
「条件」を満たせば発動でき、発動すれば「効果」を得ることができます。
この表記の仕方、実は条文の構成と非常によく似ています。例えば民法では

第百九条 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。

この条文を見たときにどの要件(「条件」の法律用語のようなものです)を満たせば、どのような効果を得られるのでしょうか。

① 本人が第三者に対して他人に代理権を授与した旨を表示したこと
② その他人が表示された代理権の範囲内で代理行為をしたこと
③ 第三者が代理権の不存在について善意無過失であること

を満たせば

本人は相手方に対し有効な代理行為がなされたと同一の責任を負う。

ことになります。このように条文の作り(=「要件」と「効果」)に酷似していることからも、遊戯王と法律の関係性が認められると思います。

まとめ

以上のように、(無理矢理感はありますが)遊戯王のルールを理解する際に解釈をしたり、条文と同じように条件と効果を分けて考えるなどの見方が必要になってきます。

法律を勉強してる人は一度その観点で遊戯王を、遊戯王をしている人は少しでも法律を学ぶと面白い発見があると思います。

(`・ω・´)