競争社会でへらへら笑って

司法試験という競争社会の中でもへらへらしてる受験生のブログ

9.本日判決のあった某事件の一連に対する批判に対する批判に対する批判

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※この記事は旧ブログ(note)で投稿したものです。極力記事の修正はしていません。

 

本日、いわゆる池袋暴走事故なる事件の判決が東京地裁で下されました。

被告人には禁錮5年の実刑判決

みなさんはどう思いましたか?

実は僕は結構この事件を気にしていて、というのもこの事件自体にはほとんど興味はなかったんですけど、この事件への一連の批判とその反論に興味があったんですね。

すなわち、被告人の事故後の対応や一連の言動等がネットなどで炎上してそれに対して有識者や法学部生などなどが反論して、まぁ色々と有名な事件になったと。。。

今では超有名な「上級国民」ワードもここで生まれたのでは?と思っています。

さてさて、ということで今回の本題は少し真面目に考えて、

当該事件に対する

批判(Twitterリプ欄やヤフコメ等を含む「一般人」のコメント)
(これを「一般人」とするのはいささか日本人を馬鹿にしすぎているけど、まぁ、批判的な意味はなく単に知識があまりない人という意味。あと、はっきり主張する人ってリアルだとあまりいないし。ちなみに大学生こそこれらのコメントは参照すべきだと思って以下略)

に対する批判(いわゆる有識者や法学部生等の「アカデミア」のコメント)

に対する批判(軽い自説(感想))をしようと思います。

 

わかりにくいけど、大まかに先にまとめるならば、

アカデミアのコメントって結構欺瞞に溢れてるし、なんなら一般人の素朴な批判の方が「正しい」こともあるのでは?

ってやつ。

逮捕について

まず一般人の「なんで逮捕しなかったんだ😡😡😡」っていう批判について。これはまぁ他のどんな事件でも大体出てくるやつですね。

①これに対するよくある反論は「逮捕の要件(条件)を満たしてないから」っていうもの。
罪証隠滅・逃亡のおそれ」ってやつですね。

(ちなみにこれ刑訴法には明文になってない。199条2項の「逮捕の必要がない」の解釈問題として上の判断基準が出てきてるはず。)

まずこの批判は全くその通りだと思います。そりゃ「必要がない」なら逮捕しちゃダメって書いてあるんだしね。

でもこれ一般人がわかるのか?って話。当然法律なんて色々書いてあるようで書いてないに等しいんだから、こんなもん読んでも一般人はわからんでしょうと(刑法では、規範に無関心であることが非難できる、とかいう議論もありますが🥺)。
てことは、そもそも素朴に思って当たり前とは言わずとも、批判しちゃうのは仕方ないのでは?

②あと、よくあるのが他の事例と比べていない反論

これ本当によくあると思うんですけど、アカデミズムに染まってる人ってアカデミア対アカデミアだと批判的検討ができてるのに、アカデミア対一般人の話になった途端、批判的検討をせずにアカデミア擁護に回らないですか?一般人の批判(疑問)を論理的に再構築して批判するのが専門性なのでは?と常々思ったりします。

今回の事例だと、「逮捕の要件に当たらない!」って反論を手放しで褒め称えて、引用して一般人を否定にする、みたいなの結構見えた気がするんですよね。

むしろ、逮捕の要件の検討は他の事例と差異がなかったのか上級国民パワーあったのでは?と検討すべきなのではないでしょうか。
これが何故か対一般人化すると批判できなくなっている気がする。特に法学部生なんてこれofこれ(自戒)。

③次にアカデミアが言うのは「逮捕は刑罰じゃない。だから逮捕を要求してるのはおかしい」って反論。

これもほぼ正しい。法的には「罰」は少なくとも「逮捕」ではない。
でもこれ欺瞞じゃね?とも思う。だって逮捕されたら困るやん。実名報道されるやん。

高校時代、数学教師が未成年へのわいせつ容疑(罪名わかりませんでした🥺)で逮捕されてました。でもそのあと不起訴になったんですよね。どうも相手の女性が嘘の供述をしてたようで。
しかしそんなこと知ってる母校の生徒は少数だと思います。
だって逮捕って報道されて、不起訴って報道はされてないから。

結局、法的には罰じゃなくても、実質的に罰なことであって、それを「罰じゃないから」って反論するのは少しおかしいのでは?と思ったりする。
(これに関しては、「いや、法的にはって意味だよ」と言う人もいるかと思います。いや全くその通り。でもそれ一般人に伝わってるのか?と疑問にも思います。一般人からしたら逮捕は罪で、その逮捕がされないのはおかしい、と言う論理は至極当然の帰結になると思うんですよ)

まぁとにかく、法律ばっかりやってる頭でっかちはこういう生の実害みたいなのを結構忘れがちになるんじゃないかなぁ、と思ったりするのです(戒め戒め)。
あと実名報道は悪。せめて逮捕=報道やめろよ、と思う。

法定刑について

これは今日バチバチに炎上してますねー。もう「死刑にしろ、とか5年は軽い!禁錮は懲役より軽い!」みたいな。楽しい限りです♪♪(^ω^)

①これに対する反論はもう「罪刑法定主義だから」一筋ですね。

全くその通り。上限7年で死刑とかなったらもうこの世の終わりです。

②さてさて、問題はここからで、この反論に付随して見られるのが「罰を定めた法律は国会によって立法され、それをするのは国会議員であり、議員をを選ぶのは国民なんだから、すなわち民主主義としては国民が無関心だったのが良くない」というもの。

要するに
刑法(特別法含む)の罰=法律=国会での立法で成立=国会は国会議員で構成=国家議員を選ぶのは国民=国民の自己責任

って流れで民主主義に参加してない国民を批判するパターン。

民主主義?の制度論理的には至極真っ当なのかもしれないけど、これもだいぶ欺瞞に満ち満ちてないか?と思う。

そもそもそんな法定刑をマニフェストにあげてる議員なんてほとんどいない。
しかも改正には有識者の見解によるところが多く、民が法律を定めるなんて形骸化しているのでは?

今回も過失運転致死罪の法定刑をあげるって言ったって、刑法の有名な山口あっちゃんやら井田まこっちやらの意見が重要であって、国民の意見は「社会通念」の一判断要素くらいにしかならない気がする。

③他方でこれはこの世の非常さを嘆いたんだけど、こういう一般人の主張にしばしば、「もし自分がこうなっても○○になっちゃうんですよ」っていうのがあると思うんですね。
今回だと、過失で死刑ならあなたも事故起こして死刑になるかも、だからその主張はおかしい、みたいな。

こういうことを理解させるために自分に置き換えなきゃいけないのだとしたら、日本人幼稚すぎませんか?

これDaigoの炎上の時も問題になってましたけど、他者の不利益について自分の不利益の可能性を考えなければ問題を理解できないってだいぶ人権意識薄くないですか?むしろ「自分には関係ないけど、なんかかわいそうだよね」って思考には至らないんですかね??
名大法学部で一番人権意識が薄い僕でさえこんなこと言うんだからよっぽどですよ。
ちなみにこれ研究仲間の後輩は「ロールズの劣化版云々」みたいなこと言ってましたが意味不明ですね。
コメントしてください。実定法専攻にはつらいんです。

まとめ

まぁ以上の感想を演繹すると、なんかアカデミアの批判もうーんと思うときあるよな、同業者には盲目的になるよなって話でした。

ちなみに、個人的に好きなツイートはこれ

まあこういう言い方は好きじゃないけど、アカデミアからの情報発信は常に他のアカデミアによって批判されなければ、正確性とか担保されないよね。こういう視点は常にもって臨むべきだと思う(このツイートへの引用リプとかも一部は同業者に盲目的になっているのではなかろうか。)。

ちなみに、個人的に思う今日の判決文で面白いことは、社会的制裁があったことは被告人に有利に働くってとこ。有罪を求める署名なんてものはむしろ被告人に有利に働くっていう面白い論理。賛否はともかく知っておくのは良いことかも。

まあとにもかくにも、今回の一連の問題は、一般人の法的知識常識の欠如だけじゃなく、むしろ専門家の視点が常識と乖離してるんじゃない?って思った事例でした。。。

そういうわけで、僕はピロートークで法的知識をひけらかす奴らへの批判を行おうと思います。

ではでは(*‘ω‘ *)