競争社会でへらへら笑って

司法試験という競争社会の中でもへらへらしてる受験生のブログ

30.ぱぱめろ「ところでお前、将来結婚する相手はいないのか?」

 

 

 

 

・・・・・はて・・・?

 

 

「こいつ」

 

 

は何を言っているんだ??

 

 

 

説明しておくと私は何も父親を「こいつ」などとは余程の例外がない限りは言わない。私の家はたぶん他の家よりも家族間の仲は良い方だし、よく話したりゲームしたり遊んだり旅行したりと非常にコミュニケーションが活発なのだ。

 

ではなぜ「こいつ」などと呼んでいるか。

 

当然、「将来結婚する相手はいないのか?」などという支離滅裂でおよそ日本語として成立していない言葉を発したからである。率直に言って意味不明である。

ちくちく言葉は第二言語として選択していないからわからないが?あ?

 

コホン。

だが私も「ことば」を大切にする法学徒である。ここは一つこの文章の解釈を試みてみようではないか。何も検討せずに「何を言っているのか全くわからない」などというのはおよそ大人な対応ではないだろう。

 

ぱぱめろ「将来結婚する相手はいないのか?」

 

コホン。

なるほど。おそらくこの話者は聞き手が将来結婚する、もしくは可能性があること、そしてその相手がいることを前提に話しているように思える。

 

しかしどうだろうか?

 

聞き手は22歳彼女なし同期はバリバリ働いてる中親の脛を齧り京都でダラダラ過ごしている毎日自習室で要件事実ニチャニチャ勉強とTwitterでの国際法イキリイキリしかしてない趣味は?と聞かれたらニタニタとブログ執筆ですと答える合コンでは女の子同士が女子特有の阿吽の呼吸を持って一瞬目を合わせこいつは無理だなと品定めとその評価をすり合わせる時のその「こいつ」足る大学院生である。

 

自虐が過ぎた。

 

さて、当然この問いへの答えは

「否」

である。

 

唯一の勝利ポイントは年齢=恋人いない歴、では無いということであるがこんなもの誤差の範囲である(ちなみに何に対する「勝利」なのかという問題は当然に発生する)。

 

むしろこの経験が聞き手の臆病な自尊心をさらに尊大にしているのである。ここでわざわざこのようなことを書いたのが証左である(縦書きの場合は証上か)。

 

さてこういうわけで「当然に」結婚相手など、さらに言えば彼女などもいないわけである。

 

こんな自明なことをなぜ質問しているのだろうか?

 

あれか?学問界隈で頻繁に見られる「当たり前を当たり前と思うな」という言説に父も感化されたというのだろうか。

 

だとすれば、少なくとも試すのは息子の恋愛話ではなかったであろう。なぜならそこからの問題解決性が皆無だからだ。

つまるところ、「いないけど?だからなに?ん?ん???んんんんん????」と言ったところで、父はこの解決不可能な難題に辟易し、ついには匙を投げ出してしまうだろう。

 

だが一方で嘘をつくのは良くないだろう。

 

仮に「あー。。。実はいるけどまた今度ね。今度連れてくるわ」などでも言ってみるがよい。

ロースクールの某民法総合1の某大御所先生よろしく光の速さで「ほんとうかっ!」(この「っ」がポイントなのは言うまでもない)が飛んでくるであろう。

 

さすればロースクール前期のようにあたふたと即興ソクラテスを披露することになる。しかも正解すればするほどにドツボにハマる最悪なソクラテスだ。これにはソクラテスも毒杯を仰がずにはおられまい。

 

コホン。

さて困った。どう対応しようか(以上ここまで0.3秒)。

 

だがこればかしは仕方ないか。正直にロースクールで基本書カルタなどという気持ち悪いもので遊んでおよそ「まともな」ことをしてないことを白状するか。今なら自白法則の任意性がなぜ必要なのかよくわかる。

 

あずめろ「いやー。そんなんいるわk」

 

待て。まてまてまてまて。

いくら私の父親だからといって、いくら息子が22歳のドラ息子だからといって、帰省した息子に冗談でもそんなことを言うだろうか。

 

否。否である。

 

よく考えればそんなわけがない。だとすれば、この質問はどういうことだ?なぜ父親が急にこんなことを。。。

 

あずめろ「はっ!」

 

この瞬間のひらめきは伊集院光がクイズ番組で披露するそれ並みである。つまりはそこまですごくない。

 

この、俺の目の前に立っているこのおとこ、名をぱぱめろ、果たして本当に「父」なのだろうか。

 

否である。私の父親は冗談でも息子の将来のお嫁さんを聞くような無粋で卑劣な行為は行わない。そんなことを聞けば息子が憤死することなど容易に推測できるからである。となれば結論は自ずと導かれる。

 

「こいつ」はきっと父親に化けているゴム人間なのだ!!

そうだそうに違いない。そうすればすべての辻褄があう(たぶん)。

 

しかしどうすればよいのか。「本物の父親をどこにやった!?」とでもいえば相手の思うつぼだろう。ひとまずは「カマ」を掛けてみるか。

昔宇宙人にあった時は素数を知っていることを示し自分が知的文明人であることを証明せよと習ったことがあったが、それをしている暇はない。

 

コホン。

あずめろ「そ、その質問に答える前に、まずはその質問をなぜするのか目的と経緯を教えてくれn?」

 

ぱぱめろ「質問に質問でかえすなよ」

 

ぐぬぬぬぬ。さすがはディベート(物理)の強い父親である。いや父親の皮をかぶったゴム人間め。だが妥当な指摘だ。しかしこちらも負けてはいられない。国際法模擬裁判とソクラテスメソッドで培った「え?おれまちがったこと言ってる?いってないが??お前の理解足りてないんじゃね?」の表情ですかさず反論を試みる。

 

あずめろ「いや、単純に興味あるし。答えはあとでもいいではないですか。ドキドキは大抵CMのあとでありましょうよ(それとも早く聞かねばならない理由があるのかね??)」

 

ぱぱめろ「えー。えっとね。。。」

 

ふん。ゴム人間も知能はルフィ程度とみた。友情と仁義で友達はできても夜神月のように知的バトルはできまい。どうだ。目的は知らぬが、交際相手の有無を聞くような質問をする経緯をすぐには思いつきまい。

 

ぱぱめろ「昨日『大人帝国の逆襲』を見たからあずめろもそういうのに気が向くようになったのかなと思ってね」

 

・・・くそ!!!失敗だ。

確かに昨日、クレヨンしんちゃんの『大人帝国の逆襲』が非常に面白いことを家族ラインで話したが。まさかこんなにフッ軽な父親だとは。

あれは家族愛をテーマにした映画としては傑作だ。ギャグテイストだからこそ言葉が深くしみる。最初の風間くんの「なつかしいってそんなにいいものなのかぁ」というセリフでじんわりきて、ヒロシの回想シーンで目じりが熱くなり、ヒロシがエレベーターで家族の素晴らしさを説くシーンで涙が現れ、しんちゃんが敵と対峙するわけでもなくただタワーを必死に登るシーンでついにそれがあふれる。

そんな名作を見たら息子にもとりあえず交際相手の有無くらい聞きたくなるだろう。当たり前だ。俺だってそうする。

 

コホン。

さて、どうこの危機を脱すべきか。うむ。これは本当にこまっt

 

ままめろ「なんのはなし?」

 

む!!これは母上ではないか。米国の海兵隊のようにどこからともなく現れ救出してくれる。さすがは世界の警察であり救急車だ。ひとまずはここにSOSを出してみるか。

ありがとう母上。あなただけが救いだ。

 

あずめろ「いやー。お父さん(本当はゴム人間であるのだが)が彼女の有無を聞いてきてね。たはは😅。」

 

 

 

ままめろ「え。あずめろにはいないでしょ。」

 

 

 

なんだこのアマは。

おっと失礼。油断してつい本心が顔を出してしまったようだ。

普通京都で一人暮らししている息子(22歳学生)が実家に帰省してそんな浮ついた話をしていたら食いつくだろう。なんだ。そのあきらめぐあいは。

あれか?中学の卒業式で近所に住む友人が第2ボタンを女子生徒におねだりされていたのに俺はされず、「あー。あずめろはもらわれないんだねぇ笑」と俺をさげすんだ当時のままなのか?おれへの認識は7年たっても変わらないのか??それが母親のすることだろうか。

せめて「え?どうなの?できたりした?」とでも言えよ。なんだその発言は。俺には見えるぞ「当然」の二文字が。隠せてないぞ。「いない」の前にあるぞ、この二文字が。それくらいの行間を読む作業、こちとら芦部憲法で鍛えてんだ。

 

ふぅ。思わず早口ののしりラップバトルを開始するところであったが自制心でなんとかこらえた。

さんざん自虐ネタをしてキャッキャッしていたのにいざ他人からその自虐ネタを馬鹿にされた瞬間に顔を真っ赤にして怒り狂うネットイキリ陰キャムーブはしなくて済みそうだ。

 

しかしこれで分かった。既に母親もゴム人間なのだ。これは本格的にまずい。2対1では分が悪い。どうすればよいだろうか。。。

 

ぱぱめろ「あ、やっぱいないんだ」

 

こらこらこらこら。勝手に話を進めるなゴム人間よ。

いない。いないよ?

だけどそんな当然のように話を進められてはこちらのプライドもずたずただ。せめて残念がってくれよ。同級生はみんな彼氏/彼女、結婚の話までしてるんだ。「やっぱ」ってなんだよ。そりゃ辛いぜ。

ゴム人間の目的はおそらくこうして俺を精神的に追い詰めることだろう。まあいい。もうすぐ「やつ」がくる。そうすれば万事解決だ。

 

 

 

 

???「ピンポーン」

 

おお!!これは救世主兄と兄嫁の到着だ。これで話しを遮れる。しかもこれで2対3。数で勝てる。数は正義だと銀河英雄伝説自由惑星同盟の諸提督が言っていたしこれなら大丈夫だ。

ひとまずはみんなでお出迎えだ。

 

あずめろ「あ、兄上ではないか!お出迎えしようよ。」

 

ぱぱままめろ「あ、そうだね。」

 

よし。会話の中断完了。

非モテが行うナンバー1女の子に嫌われる行為「女の子の会話を遮って自分語り」が成功だ。

 

あにめろ「がちゃ」

 

 

 

 

 

あずめろ「おかえりー!あずめろ帰省しております。ささ、兄上と兄嫁、おつかれさまです。

いやはや元気にしてましたかな??(兄上よ兄嫁よ聞こえるか。この家は既にゴム人間に支配されている。今すぐこの両親の皮をかぶる「なにか」を退治しましょうぞ)」

 

 

あにめろ「おー!あずめろ!おかえりー!元気元気ー!」

 

目に正気が宿っている。間違いない。これは私の知っているあにめろだ。

これで大丈夫。若い2人と起案の連続でムキムキになった右手を持つ私がいればゴム人間など楽勝だ。

 

 

さ、不意打ちを掛けましょう。

 

 

兄弟だけがわかる阿吽の呼吸の目配せをする。

70億人もの人類がいても、目配せで不意打ちの現場共謀ができるのは兄弟たるあにめろしかいまい。

血のつながりをDNAレベルで感じる。

これが

 

「兄弟」

 

「家族愛」

 

か。

 

 

 

 

 

 

 

あにめろ「ところでどう?お前も京大で彼女できたか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以降、あずめろの皮膚が若干ゴム気質になっていることを、未だ誰も知らない。

 

 

 

 

※この物語はフィクションで(あったらいいなぁと思っていま)す。